
パパ・ママ「手を添えたり、見せて教えているのに、
スプーンを使う気がなさそう」
「好きに使わせたら、絶対に全部遊ばれる」
「この年齢なら遊びながら覚えていくよ」と言われると、悪気はなくても、
なんとなく引っかかること、ありませんか。



いやいやいや、、、それも分かってるんですー。
遊び食べ全盛期にそんなことをしたら、食卓が大変なことになるのは目に見えているし、
本当にこれで使えるようになるのかな、という心配もありますよね。
管理栄養士として、これまで300人以上の子どもたちの「食べる」に関わってきて思うのは、
もしかしたら離乳食のころに、スプーンを触る機会が少なかったのかな、ということです。
もちろん、もともと食にあまり興味がない子もいます。
「食べさせてたもう」の、王様・お嬢様タイプの子も(笑)
でも、みーんな、2歳ごろには自分でスプーンを持って食べています。
だから大丈夫です。
1歳半は、いってみればスプーン0年生なんです。



できていないところを数えなくて大丈夫。
いっしょに始めましょッ!
- 1歳半が「スプーン0年生」といえる理由
- スプーンの教え方3ステップ(見せてみる・一緒にやる・おいてみる)
- どこまで子どもにまかせるかは、大人が決めていいということ
- 自分で食べ始めるのは1歳9か月ごろ。今はまだ焦らなくていい
食べる量や好き嫌いのほうが気になるときは、こちらの記事にまとめています。
⇒「2歳の「食べない」に疲れたら。好きなものばかりでも大丈夫な理由」
スプーンができるまでの道のり|1歳半は、その途中です


まず、全体を見てしまいましょう。
スプーンは、ある日いきなり使えるようになるものではありません。
- 10か月ごろ:食べさせる手に、赤ちゃんの手が伸びてくる。「自分で!」の始まり
- 1歳ごろ:持たせるだけでOK。興味が見えたら、一緒にやってみる
- 1歳半ごろ:手づかみからスプーンに移りはじめる。でも、下手で当たり前 ← 今ここ
- 1歳9か月ごろ:かなりきれいに食べられるように(あくまで平均です)
- 2歳後半:持ち方が鉛筆持ちに近づいて、だんだん完成へ
1歳半はまん中あたりです。
できていないのではなくて、途中なんですね。
手づかみから、ようやく移ってきたばかり。



大人がイメージするスプーン使いはで
きないのが当たり前の時期です。
スプーンの練習はいつから?|「自分で!」のサインが出たら、少しずつ


「スプーンの練習って、いつから始めればいいですか?」
これ、私が保護者の方にいちばん聞かれる質問です。
同じように悩んでいる方、本当にたくさんいらっしゃいます。
「何か月から」ではなくて、「自分でたべる!」という姿が見えてきたら。
と答えるようにしています。
10か月ごろ(もちろん前後します)、食べさせる手に、赤ちゃんの手が伸びてくる。
「ちょっと待って〜」と避けながら食べさせていた、あの頃です。
あれが「自分でたべる!」の始まりのサイン。
このサインが見えてきたら、離乳食の終わりに渡してみる。
そこから、すこしずつ慣れ親しんでいきます。
最初は、持たせるだけから始まって、
1歳ごろ、興味が見えてきたら「こうやって使うんだよ」と一緒にやってみる。
反対の手は手づかみで食べていることがほとんどです。
1歳半ごろ|移し替えの実験がはじまったら、もうすぐです
お皿の中身をお茶碗に移して、また戻して。おかずをお茶碗に入れてみたり。
「また遊んでる」「危ないからやめて」と言いたくなる、あれです。
でもよく見ていると、こぼさずに、けっこう上手にやっているんですよね(笑)
実はあの移し替えの動き、スプーンと同じ「ここからここへ、行って戻る」の練習なんです。
保育士さんに聞くと、なぐり描きも「行って戻る」なんですね。
他には、手づかみ食べのときの、手と口の入り具合も変わってきます、
少し前までは指ごと口の奥まで入っていたのが、
いつのまにか、指が奥まで入らなくなってくる。
口の手前で、パクッと取り込めるようになってくるんです。
そうなってきたら、そろそろ、体の準備も整ってきたかなと見ています。
1歳9か月ごろ|だいたい、ここで完成します。あくまで平均ですが


現場で見ていると、スプーンを持って自分で食べ始めるのは、1歳9か月ごろの子が多いです。
1歳9カ月頃になると、スプーンでかなりきれいに食べることができるようになってきます。
山口平八・清水フサ子『子どもの「手づかみ食べ」はなぜ良いのか?』IDP新書 p.129
1歳半は、その少し手前。
散らかす量も、これから少しずつ減っていきます。



つまり今が、いちばん散らかる時期ということです(笑)
2歳後半|持ち方は、あとから変わります。直さなくて大丈夫
持ち方を直したくなること、ありますよね。
1歳半は、まだ手のひら全体で柄を包むように握る時期です。
指の腹で持つのは1歳半から2歳ごろ、鉛筆のような持ち方は2歳の後半あたりからと言われています。
体の使い方がだんだんできてくるうちに、持ち方のほうも、あとから変わっていきます。
直して変わるものではないんですね。
専門書にも「食具の握り方だけにこだわることのないように」と書かれています。
お箸は、鉛筆のような持ち方ができてからと言われています。



にぎり持ちのままで大丈夫。
にぎり方については、
そっと教えてあげる程度でいいと思っています。
スプーンの教え方|見せてみる・一緒にやる・おいてみる


持とうともしない子は|まだ「道具」に見えていないのかも
「そもそも持ってもくれないんです」という声も、よく聞きます。
そういう子を見ていて思うのは、まだスプーンが「道具」に見えていないのかもしれない、ということです。
離乳食のころ、大人が持つスプーンを見て、さわって、口に入ってくるものとして知っていた子は、
自分でも持ちたがることが多いように感じます。
では、どう伝えていくか。
- 見せてみる……大人が使って食べる。一緒に食べる
- 一緒にやる……手を包んで、口まで運んで食べさせる。
- おいてみる……のせて置く。運ぶところだけまかせる
準備|スプーンを2本用意する
スプーンが「大人が持って、食べさせてくれるもの」のままだと、
まだその子の持ち物になっていないんですね。
現場では、スプーンを分けています。
子ども用のスプーンと、大人が介助に使うスプーンは別々。
大人のほうは百均のもので十分です。
渡すときに「〇〇くんはコレね」と、その子のスプーンだと伝えます。
使わなくても大丈夫。
自分のスプーンがある、という状態からで十分です。
スプーン選びに迷ったときに、現場で見ていて納得したものをひとつ。
おぎそのLisse(リッセ)ベビースプーン。先の幅は2.2cm。
持ち手にちょうどいい厚みと、くぼみがあって、保育園の先生の意見をもとに作られたものだそうです。
1歳半は、手のひら全体で柄を包むように握る時期。細い柄だと、ギュッと力が入りません。
しっかりにぎれて、口まで運びやすくなります。
しっかりにぎれて、口まで運びやすくなります
1|見せてみる
いちばん最初は、教えることではなくて、一緒に食べることです。
大人がスプーンを使って食べている姿を、毎日そばで見る。お箸でもかまいません。
子どもは、大人が思っているよりずっとよく見ています。
「これは食べるときに使うものらしい」と気づくところから始まります。
2|一緒にやる。二人羽織のように
次は、後ろから手を包んで、すくって、口まで運ぶところまで全部いっしょにやってしまいます。
「見せる」は、向かい合ってやるより、隣でやるほうが伝わります。
隣で見せるより、体ごと動かすほうが、もっと伝わります。
だから、後ろから。二人羽織がいいんですよね。
そこから、少しずつ手を離していきます。
手首に軽く触れるだけ。次は、隣で見ているだけ。
だんだんと、大人の助けを減らしていきます。
3|おいてみる。運ぶところだけ、まかせる
3つ目は、大人がすくって、スプーンにのせた状態で置いておきます。
子どもは、それを持って口まで運ぶだけ。
すくうのは、実はかなり難しい仕事。
だから最初は大人がやってしまって、いちばん達成感のあるところだけ残します。
できた瞬間、現場で言っているのはこの3つです。
「できたねー」「すくえたねー」「お口にはいったね〜」
できた瞬間に、すかさず。



一緒に「できたー!!」と喜ぶことが
最高のがんばる力につながります。
子どもの「できた!」につながるスプーンの話
上で紹介したベビースプーンは、3歳、4歳と口が大きくなってきたら、
同じシリーズのLisse スプーン(先の幅2.9cm)があります。
選び方そのもの(握りやすさ・先の幅・深さ)は、スプーンを嫌がる1歳2歳|対処法3つにまとめています。
スプーンの上達を支える3つのこと|ルールは家庭で決めていい
子ども「自分でやりたい!」
大人「いや……それは止めといてほしい」
子ども「やりたいー!」
大人「今はできないんだって」
1歳半の食卓は、毎日これのくり返しではないでしょうか。
スプーンを投げることも、
食べたいものを先に食べたいことも、
赤ちゃんから大きくなっていくのに、欠かせないこと。



でも、困っちゃうし、
ちょっと疲れてきてしまうこと、ありますよね。
1歳半ってどんな時期?|心は、どこかの少年誌の主人公です


1歳半という特別な時期のことを少しだけ。
ここはちょうど、赤ちゃんから大きく変わっていく飛躍の時期と言われています。
歩くのが上手になって、
自分で選んだり、切り替えたり、
「〜じゃない、・・・・だ!」と全身で伝えてくる時期ですね。
赤ちゃんから、「じぶん」になっていくんですね。
大きくなりたい。もっともっと、やってみたい。
できなくて、悔しくて、仲間に助けてもらいながら、
それでもまた立ち上がって、まっすぐ向かって強くなる。
あれ、どこかの少年誌の主人公みたいですね(笑)



泣いてるな〜と思って見ると、
だいたい1歳半さんです(笑)
そんな、成長真っ只中の彼らに、無粋な手助けは無用ですね。
では、どんな手助けができるのか。
正解があるわけではないのですが、
私が現場で気をつけていることを、3つだけ。
- ルールは、大人が決める
- 声かけは一呼吸おいて。
- 気持ちは受け止めて、ルールは動かさない
1|ルールは、大人が決める


「自由にやらせるのがいい」「子ども優先で」と言われること、多いですよね。
でも、正直どこまで自由にさせるのがいいのかな? と考えちゃいますよね。
私の考えでは、保育園でも家でも、
もともと大人が決めているところがあるはずなんです。
上の棚は大人がさわるところ。これは大人がすること。
食卓も同じで、ここまでなら許せるを決めることをおすすめします。
ごはんも、お汁も、おかずも。
ぜんぶ渡してしまうと、遊びになってしまう子もいますからね。
例えばですが・・
- ごはんとお汁は、大人が介助する(こぼれると大変なので)
- おかずは、子どもにまかせる
- 手づかみは、1品ずつ
決めるときの目安は、子どもの発達というより、
お母さん・お父さんが、気持ちよくいられる範囲でいいと思っています。
2|声かけは、してほしいことを|いいことはスグに伝える


「だめ」と言いそうになったら、一瞬だけ止まって、
してほしいことのほうを伝えるようにしています。
「遊ばないで」より、「すくってみよう」。
「ちゃんとして」は、1歳半にはまだ伝わりません。
- 「スプーン、持ってみよう」
- 「手は横だね〜」
- 「すくえたね〜」
どんな行動をしてほしいのかわかりやすく伝えるようにしています。
そして、もうひとつ。
「いいことはスグに伝える」の気持ちで声かけをしています。
言葉以外でも伝わる方法はあります。
3人くらいを一気に食事の介助に入るときも、
見てるよ、の笑顔。うんうん、とうなずく。
グッドのサインをする。
それだけで、食卓の雰囲気はパッと明るくなります。
3|気持ちは受け止めて、ルールは動かさない


そろそろ、食事も終盤に近づくと雲行きが怪しくなってきて。
温厚なはずのmog先生も、怒るときもあります(笑)
そういうときも、いきなり正論を言わないようにしています。
まずは、落ち着いて(わたしが笑)
「やりたかったね」「ほしかったね」「くやしかったね」
一旦、一呼吸。
(そもそも止めたのは、大人の私なんですけどね)
ただ、気持ちは受け止めても、ルールのほうは動かさない。
ここは分けています。
1歳半の男の子が、食事中にスプーンも投げてしまったときも、
「次投げたらスプーンでごはんは、おしまいね」
と伝えた後は、グズグズ言っても、スプーンは渡しません。


グズグズ言えばなんとかなる、が続くと、
子どもは「こうすれば通る」と覚えてしまうんですね。
現場では誤学習と呼んでいます。
見てくれない、遊ぶ、大人が反応する、見てくれた、また遊ぶ。
このくり返しに入ると、かえって長引いてしまいます。
だから、決めたことは家族で同じにしておく。
そのためにも、決めたルールは曲げないことが大切なんですよね。
現場でも、どこまで許すか、どこまでルールにするかは、
大人どうしでよく話し合うようにしています。
前はいいって言われたのに、今回はだめ。なんなんだー。
大人によって違うと、子どもが戸惑ってしまうからです。
園は大人が何人もいるので特にですが、おうちでも同じ。
パパとママで違うと、子どもは迷ってしまいます。


まとめ|スプーン0年生。これからたくさん練習していきます。


食べ方が上手になっていくことも、お行儀を身につけていくことも、
「もう少しできそうなのに、できない……」と、もどかしく感じることってありますよね。
そんなとき、私は「待つ」ということを心がけてもいいのかな、と思うことがあります。
子どもは、まわりからどんどん吸収します
食べ方が上手になっていくことも、お行儀を身につけていくことも、
「もう少しできそうなのに、できない……」と、もどかしく感じることってありますよね。
そんなとき、私は「待つ」ということを心がけてもいいのかな、と思うことがあります。
子どもは、まわりからどんどん吸収します
子どもたちは、まわりのことを本当によく見ています。
お友だちがスプーンを使っていたら、自分も使ってみたくなる。
よく食べる子がいたら、つられていつもよりたくさん食べる。
お友だちが好きなものを「おいしい」と食べていたら、自分も食べてみたくなる。
そして、大人がしていることも、よく見ています。
先日、こんな姿を見かけました。
1歳半ごろは、ごはんを食べることに苦労していた子が、3歳になっていました。
その子が、大人がしているのを見て覚えたのでしょう。
ぶどうの皮を入れる容器を、お友だちと「ハイ、どうぞ!」と譲り合いながら使っていたんです。
「こうするんだよ」と教え込まなくても、
子どもは、毎日の生活のなかでまわりを見ながら、少しずつ吸収していきます。
そのスピードは、大人が思っているよりずっと早いのかもしれません。
「家でも頑張らせないと」
「このままで、入園して困らないかな」
そんなふうに心配になる気持ちも、よくわかります。
でも、子どもはこれから、たくさんのお友だちに囲まれて過ごしていきます。
お友だちの姿を見て、真似をして、刺激を受けて。
ときには揉まれながら、少しずつできることを増やしていきます。
だから、今すべてを家庭でできるようにしなくてもよいかなと。
もちろん、できることを一緒に練習していくことも大切です。
でも、子どもが自分で吸収していく力を信じて、
「今はまだできないけれど、いつかできるようになる」と待ってみる。
そんな選択肢があってもいいのかな、と私は思っています。
子どもの成長を、すべて大人が引っ張っていかなくても、
まわりの子どもたちや、保育のプロにまかせながら育っていく。
そんなふうに、少し肩の力を抜いてもいいのかもしれません。
それでも大変な日は
上手ではない食べ方に寄り添いたい気持ちは十分あるのに、
それでも、やっぱり「疲れているな・・・」と感じることありますよね。
一日中、自分以外の誰かのために休む時間もなく動いているんですもの。
そういう日のために、頼れるものを用意しておくのもひとつです。
幼児食って作らなくていいの?悩みが軽くなる冷凍幼児食宅配【モグモ】
\冷凍庫に、あってよかったの日のために/



作る準備も、あと片付けも。
「今日どうしよう」を考えなくてよくなるのは、
思っている以上に大きいです。
参考文献
- 山口平八・清水フサ子『子どもの「手づかみ食べ」はなぜ良いのか?』IDP新書
- 向井美恵『お母さんの疑問にこたえる 乳幼児の食べる機能の気づきと支援』ぶどう社
- 小笠原恵『発達の気になる子の「困った」を「できる」に変えるABAトレーニング』
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」


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