
パパ・ママ「そうめんを、口に運んだそばからボロボロ落とす」
「まわりの子はズルッといけてるのに、
うちの子はすすれない・・・」
夏の食卓は、麺の出番が一気に増えますよね。
そうめん、冷やしうどん、冷やし中華。
ラクだから出すのに、
結局こぼれた麺をあっちこっち、一本一本拾っていて、
食べる量より布にごはんをあげているのでは?笑
食具の使い方もまだぎこちないこともありますが、
今回は、お口の動きに注目してみます。
実は、「すする」という口の動きには、
吸う・唇を閉じる・舌を動かす、を同時にしている、けっこう高度な技なんです。
3歳ですすれなくても、遅れているわけではありません。
そして、練習できる方法もちゃんとあります。
保育施設で200人以上の子どもたちのごはんを見てきた、管理栄養士のmogです。


- 「すする」がなぜ難しいのか(唇・舌・吸う力の3つが同時に必要)
- すすれるようになる目安と、焦らなくていい理由
- おうちでできる練習3ステップ(スプーン→ストロー→短い麺)
- 夏の麺を食べやすくする、麺えらび・器・切り方
「すする」は3つの動きの合わせ技|だから3歳で難しくて当たり前


まず結論から。
3歳ですすれなくても、心配しすぎなくて大丈夫。
ただ「なぜ難しいのか」を知っておくと、どこでつまずいているのかが見えてきます。



すするという動きを、注目してみましょっ!
「閉じて・吸って・送る」を同時にやっている
「すする」という食べ方は、
まずは、
唇をすぼめて、すきまなく閉じて、
息を吸って、
口に入った麺を舌で奥へ送る動きです。
「閉じて」「吸って」「送る」この3つの動きを同時にできると、上手にズルズルと麺を食べることができます。



大人は無意識にできてることも、
子どもにはまだまだ、同時は難しいんですよね。
ひとつでも欠けると、麺は口の外に落ちます。
だから「こぼす」のは、やる気の問題でも、行儀の問題でもありません。
まだ3つがそろっていないだけ、と思ってくださいね。
そして、この3つはぜんぶ別々に育つということ。
唇を閉じる力は、離乳食のスプーンをはさむところから。
吸う力は、赤ちゃんのときのおっぱいやミルクから。
舌で奥に送る動きは、飲み込みの練習の中で。
バラバラに育ったものが、あるときひとつの動きにまとまる。
その合流地点が「すする」なんです。
だから、ある日とつぜんできるようになる子がなかにはいます。
すすれるようになる目安は3歳前後から。個人差が大きい
愛知県が公開している乳幼児の口腔機能支援ハンドブックを見ると、
口の機能はこんな順番で育ちます。
| 時期 | 口の育ち |
|---|---|
| 5〜6か月頃 | 唇を閉じてゴックンと飲み込む |
| 7〜8か月頃 | 舌と唇で押しつぶす。この頃「すする動き」を引き出す |
| 9〜11か月頃 | 前歯でかじり取る/コップから連続で飲む練習 |
| 1歳6か月〜3歳 | 自分で一口量を調節できるようになる。乳歯が生えそろう(2歳半頃〜) |
| 3歳〜6歳 | よく噛んで味わって飲み込む食べ方が完成していく |
注目してほしいのが、いちばん下の行です。
噛んで食べる力そのものが、3歳から6歳にかけてゆっくり仕上がっていくと書かれています。
つまり3歳は、まだ「完成前」。
すすれない子がいて当たり前の時期なんです。



年少さんでズルッといける子と、まだの子が半々くらいです
同じ園の子と比べると焦ってしまいますが、
この時期の数か月差は、ほんとうに個人差の範囲です。
ストローマグばかり並んでいるのに、コップ飲みのほうが先


ここは意外と知られていないところです。
というのも、売り場に並んでいるのはストローマグばかりなんですよね。
哺乳びんの隣にストローマグ。その隣にもストローマグ。



あれだけ並んでいたら、そりゃストローが次だと思いますよね(笑)
だから「次はストローの方がいいのかな」と思っている方は、本当に多いです。
でも実は、口の育ちの順番でいうと、コップのほうが先なんです。
同じハンドブックには、こう書かれています。
気をつけたいのは、ストローより「深くくわえるクセ」
ストローを奥まで入れてくわえると、
唇をすぼめなくても飲めてしまいます。



唇をすぼめる練習の機会が、そこで1回減ってしまうんですよね
ここまで読んで、「えっ!ストローって使ってるけど大丈夫?」と思われたかもしれません。
使ってても大丈夫。
気をつけたいのはストローそのものではなくて、
奥まで深くくわえること。
だから、ストローを短くくわえる、あるいはコップと併用でもOK。
ただね、食べ方や飲み方を伝えるのって、難しいんですよね。
「唇をこうして」と言っても、なかなか、伝わらないんですよね。



そんなときこそ、
便利なアイテムの出番です
私がおすすめしたいのが、ミラクルカップ(マンチキン)です。


ふつうのコップと違って、飲み口にシリコーンのバルブが入っていて、
口ではさんだ部分だけがすきまになる構造で、
唇でフチをはさんで吸うと飲み物が出てくる仕組みになっています。
倒しても、逆さまにしてもこぼれず、外出先も安心。
洗い方は、
「本体」「スクリューキャップ」「シリコンバルブ(フタ)」の3点のみで、
細かいストローやチューブがない点は楽チンです。
コップ飲みのコツが掴めない子どもに、試してみると、
はじめはハムハムしているところから始まり、
1週間ほどすると、コツを掴んで、
自然とコップ飲みができる口に育っていきました。



保育士さんと一緒にすごいねー・・・と感心しました。
子どもが自分で唇をすぼめるコツをつかむのに、
とてもいいアイテムだと思っています。
麺をすする練習3ステップ|スプーン・ストロー・短い麺


「すする動き」を引き出す方法を
わかりやすく、3つのステップにしました。
ステップ1|スプーンのふちで「ちゅっ」と吸う練習
いちばん最初の一歩は、麺ではなく水分です。
スプーンを下唇の上に置いて、
上唇が水分に触れるのを待つことで、すする動きを引き出すと書かれています。
やり方はかんたんです。
- 浅めのスプーンに、みそ汁やスープを少しだけ入れる
- 口の中に入れず、下唇の上にちょこんと置く
- 唇が降りてくるのを待つ。



「待つ」ことがポイントです。
大人がスプーンを奥まで入れてしまうと、
子どもは唇を使わずに飲み込めてしまいます。
置いて、待つ。
これだけで唇の出番が生まれます。
お風呂あがりの麦茶や、少し意識をしてやってみてくださいね。
ちなみにこの「置いて待つ」、離乳食のいちばん最初にやる介助と同じ形です。
資料にも、スプーンを水平に下唇にのせて上唇が閉じるのを待つと書かれています。
3歳でも、やることは変わりません。
戻ってやり直しではなく、もう一度その動きに出番をつくるだけです。
ステップ2|ストローを短くくわえて、唇をすぼめる


次は、唇をすぼめる感覚をつかむ番です。
すでにストローが使えるなら、くわえる深さを浅くするだけ。
先っぽを1cmほどくわえてもらいます。
浅くくわえると、唇でぎゅっと押さえないと飲めません。
それがそのまま、すするときの唇の形になります。



「ちょっとだけくわえて飲めるかな?」で
ゲームっぽく誘うと乗ってきます
遊びの中で唇を使うのもおすすめです。
シャボン玉、笛、紙をストローで吸って移すゲーム。
どれも唇をすぼめて息をコントロールする練習になります。
食事の時間は、親も子どもも疲れています。
お風呂やおやつの時間のほうが、うまくいきやすいです。


お風呂でのシャボン玉は、とくにおすすめ。
ぬれても平気だし、失敗しても誰も困らないので、何度でもやれます。
「吹く」と「吸う」は逆の動きに見えますが、
どちらも唇をすぼめて、息の通り道を細くする点は同じです。
ステップ3|3〜4cmの短い麺から始める
いよいよ麺です。ここでのポイントは長さ。
長い麺は、途中で切れたり、口の外でぶら下がったりして、
「すすれた」という成功体験になりにくいんです。
| 段階 | 麺の長さ | ねらい |
|---|---|---|
| はじめ | 3〜4cm | スプーンにのる。すすらなくても食べられる安心感 |
| 慣れたら | 7〜8cm | すすらないと口に入りきらない長さ |
| そのうち | 切らない | ズルッとできたら成功 |
もうひとつのコツは、汁を少なめにすること。
汁が多いと、すするときに一緒に流れ込んでむせやすくなります。
そして、姿勢。
足がぶらぶらしていると、口にうまく力が入りません。
足の裏が床か足置きにつく高さにすることも大切です。
そうめんよりうどん?「できた!」が増える麺の出し方


| 夏の麺 | すすりやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| そうめん | むずかしい | 細くて表面が滑るので、唇でとらえにくい |
| うどん | やさしい | 太くてとらえやすい。練習に向く |
そうめんより、うどんのほうが「できた!」になりやすい
すすりやすさでいうと、うどんがいちばんです。
太くて、唇でとらえやすい。
そうめんのようにするっと逃げないので、成功しやすいんです。
逆に、そうめんは細くて表面がつるつる。
唇でとらえにくいので、幼児にとっては実はいちばん難しい麺です。



もし「ズルッ」が一度できたら、
「上手だね〜」「いい音したね〜」と伝えてあげてくださいね。
麺の日をあと一歩後押しする道具|動かない器・フォーク・食卓ばさみ
うまくすすれないなりに、こぼしながら、食具を握って一生懸命食べている。
その姿を、私はニマニマして見てしまいます。
日焼けした腕で、あんなに一生懸命なんですもの(笑)
そのうえで、大人にできることがあるとすると、環境を整えることかなと思います。
まずは、動かない器。
粘り気のあるご飯と違って、麺は逃げます。
一生懸命スプーンで麺を追いかけているうちに、器のほうが動いてしまう。
重さのある磁器の器だと、安定して食べることができます。
浅い平皿より、ふちが立ち上がった深めの器のほうが、麺を寄せて集めやすいです。
次に、フォーク。
そうめんは細いので、フォークでも巻けません。
でもうどんなら、太いので刺せるし、巻ける。
麺の日は、スプーンよりフォークのほうが成功しやすいことが多いです。
フォークの先に溝がついているタイプだと、麺がひっかかって落ちにくくなります。
そして、食卓ばさみ。
私は、麺類はすべてゆでる前に半分に折っています。
乾麺は19cmくらいなので、折ると9〜10cm。
それだけで、ずいぶん食べやすくなります。
それでもまだ長い、という子はいます。
園には予備のフォークやスプーンがたくさんあるので、
その子に合わせて、その場で包丁で切ってしまうことが多いです。
でもおうちだと、同じようにはいきませんよね。
行事のときに、ベビーカッターを持ってきている保護者の方に見せてもらいました。
ケースから出して、その場でチョキチョキ。
子どもの見ている前で切って、そのまま食べていました。
伺ってみると、
外でごはんを食べるときに、唐揚げとか麺類とかにとても便利なんだそうです。



よく切れるベビーカッターがおすすめ!
離乳食用として売られていますが、幼児食でも変わらず使えます。
そして、夏の麺が続いてしんどくなったら。
こども用に食べやすく準備されているものに頼るのも賢い選択です。
まとめ|麺がすすれなくても、食べる力は育っている
今日の内容を、短くまとめます。
練習3ステップと麺の出し方 早見表
| やること | ポイント |
|---|---|
| スプーンで吸う | 下唇に置いて、待つ。奥まで入れない |
| ストローを浅く | 先を1cmだけくわえる。シャボン玉や笛でもOK |
| 短い麺から | 3〜4cm → 7〜8cm → 切らない |
| そうめん | いちばん難しい麺。ゆでる前に半分に折る |
| うどん | 「できた!」を感じやすい |
| 道具 | 重さのある器・溝つきフォーク・食卓ばさみ |
「すすれない」は、まだ順番が来ていないだけ
唇を閉じる、吸う、舌で送る。
この3つがそろうまでには、時間がかかります。
噛んで食べる力が仕上がるのは3歳から6歳にかけてとされています。
3歳は、まだ途中の場所にいるんです。



手でつまんで食べていても、ちゃんと前に進んでいます
まわりの子と比べて焦る気持ちは、私もよくわかります。
でも、その子の口はその子のペースで育っています。
すすれないあいだも、スプーンですくって食べていれば、
栄養の面ではまったく問題ありません。
「すすれること」は、食事のゴールではないんです。
おいしく食べて、おなかがいっぱいになれば、それで十分。
練習はあくまでおまけ。
やらない日があっても、何も遅れません。
今日も一日、また一日
そうめんが床に落ちた日も、
洗濯物が増えた日も、
その子は口を使う練習をしていました。
いつか、なんの前ぶれもなく、ズルッといける日がきます。
そのときは、思いきり驚いてあげてください。
そこからは、何度も見せてくれる日がやってきます。
今日も一日、また一日。重ねながらやっていきましょ〜。


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